(おまけのページ)

 代替療法の一つとして、欧米で中心的なサプリメント療法を紹介しましょう。
 これは、私の友人(医師)が寄稿してくれた文章です。


 化学療法のように腫瘍細胞を殺す治療ではなく、からだの免疫能を高めて腫瘍細胞の増殖を抑え、できるだけ長く癌と共存することを目標にした治療の一つにNutritional therapy(直訳は栄養療法)があります。
 栄養学者たちは、「食事だけでビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸等を完璧に摂取するのは困難である。身体を快適に動かすため、病気を予防するため、病気の悪化、再発を防ぐために積極的にSupplement(サプリメント)を取り入れるべきである」と考えています。
 実際、政府が決めている栄養摂取量というのは、必要最低量であって、身体が快適に動くための必要量とは大きな差があります。
 例えば、ビタミンC。
 抗がん効果があることは有名ですが、治療効果を上げるためには、5g〜10gは必要といわれています。 (抗ストレス効果には数g必要)
 こんなに大量には取れないにしても、身体の回復を高めるためには、できるだけたくさん取ったほうがよい。
 しかも、Bioflavonoid (フラボノイド、ワインのポリフェノールやお茶のカテキンが有名)といっしょにとると働きがぐんと良くなる。
 自然界のものにはたいていビタミンCとともにフラボノイドもいっしょに含まれています。
だから、ビタミンC製剤は新鮮な野菜や果物といっしょに服用したほうがいいのです。
(レモンを水に絞り込んで、レモン水を作って、サプリメントを服用すると簡単)
 ビタミンB群もビタミンEも、がん細胞に対抗できるほど免疫能を高めるには、サプリメントが必要です。


 ここからまた私の文章です。

 健康食品には時代のブームがあると前述しました。
 振り返れば、ひとむかし前には、ビタミンCの抗がん効果がよく週刊誌記事になっていた時代がありました。
 日本においては、どうしても癌に対する単なる「効果」ではなく「著効」が求められてしまいます。
 前述のPHARMANEX社もサプリメントの会社なのですが、日本に来ると「癌が治る」健康食品にされてしまうわけです。
 ビタミンCだけで癌が治ると信じている方は、現在の日本にはほとんどいないでしょう。
 また、ビタミン剤は比較的安いので、業者は儲かりません。
 こうして、健康食品のブームはビタミンCよりも、より「著効」を連想させ、儲かるものへと移ってきたのです。

 アガリクスやプロポリスなど現在ブームの健康食品も、「化学療法のように腫瘍細胞を殺す治療ではなく、からだの免疫能を高めて腫瘍細胞の増殖を抑え、できるだけ長く癌と共存することを目標にした治療の一つ」なのです。
 「癌が消えた」などというバイブル商法に引っかからないで下さい。

 免疫のシステムはとても複雑なものです。
 免疫学の実験では、同じ物質が、ある濃度では免疫反応を促進し、別の濃度では逆に免疫反応を抑制することがあり得ます。
 もし、本当にがんに対する効果のある健康食品が存在したとします。その健康食品を同じ量だけ摂取しても、ある人では癌の増殖が抑制され、別のある人では癌の増殖が促進されてしまう可能性も否定できません。
 ほとんどの健康食品では、効果もない代わりに副作用も数少ないのでしょう。もし本当に効果のあるものであったら、期待と逆の結果もあり得るリスクを払っているのです。
 大切な方を長生きさせるどころか、命を縮めているのかもしれないのです。


 <おまけの終わりに>
 癌の予防や治療に画期的な進歩をもたらすのは、遺伝子研究による医学の進歩だと信じています。
 国民の多くが代替医療に過大な期待をしてしまう今の時代が、過去の話になってほしいものです。
 さらには、このHPで書いた諸問題が、すべて懐かしい昔話になる日が早く来ればいいですね。