1.木酢液

 昭和53年の警察白書に、霊原素アトムの事件があります。
 製材会社が、樹皮や木くずを原料とした「ニセ薬」を製造し、これを「霊原素アトム」と称して、ガン、糖尿病等万病に効くと宣伝し、全国的に販売して不法利益約17億6,600万円を得ていた(警視庁)という事件です。
 インターネットの検索ページで「霊原素アトム」を検索してみてください。木酢液の販売業者のホームページ(HP)のなかには、糖尿病に効果がある証拠として今でも「霊原素アトム」の本を引用しているところがあります。
 このようなHPを見ると、別々のHPなのに、文章がほとんど同じであることにも気づかれることでしょう。ずっと以前から使われてきた宣伝文句が繰り返し使われているのです。
 木酢液は、明治時代に登場したという歴史ある健康食品です。本当に病気の治療に効果があれば、すでに医学界の常識になっているはずでしょう。

 木酢液を販売しているHPがすべて悪徳業者というわけではありません。
「アトピー治療や水虫治療についての効能に関する記述や、病気が治ったという体験談は薬事法第68条に抵触します。木炭や木酢液は厚生省から認可された医薬品ではなく、PL法では雑貨に属するものです。」と、きちんと説明している良心的なHPもあります。
 良心的なHPでは、木酢液は入浴剤などの用途が主で、もはや食品ですらなくなっているようです。
 木酢液に薬効があるかのような宣伝をしているHPは要注意と考えた方がよいと思います。

 健康食品には、その時代のブーム商品があります。先見性のある悪徳業者なら、木酢液のように健康食品としては時代遅れの代物からはすでに手を引いて、新たな健康食品を売り出しているでしょう。
 私の購読する地方紙の折り込み広告でも、クロレラ業者がクロレラ以外の健康食品を宣伝しています。クロレラでは業績が頭打ちなので、サメの軟骨などの新たな健康食品で儲けようとしているように思われます。


<ワンポイントアドバイス>

 「健康食品には副作用がない」はウソです。